日本有数の高級商業地・銀座は、休日になると「銀ぶら(銀座ぶらぶら)」を楽しむ人々で賑わう、華やかな繁華街です。銀座には高級ブランド店や百貨店が軒を連ねる一方、伝統芸能を楽しめる歌舞伎座や古くから食通を引きつける老舗料理店が共存し、洗練された雰囲気と文化が交差する街としても知られています。そんな銀座にあって、長年愛され続けている老舗洋食店が「銀座 みかわや」です。看板料理の「かにクロケット」や「ビーフシチュー」は、贅沢な味わいと独自のスタイルで多くの食通を魅了してきました。今回は、この銀座を代表する名店の魅力をご紹介します。
銀座の始まりは銀貨の鋳造所から
今では日本各地でその名が使われている銀座。東京の中央区にある元祖・銀座はどのように始まったのでしょうか。
銀座という名前の由来は、江戸時代初期に設置された銀貨の鋳造所にあります。もともと駿府(静岡県)にあった銀座役所が江戸に移され、現在の銀座一丁目周辺に置かれたことで、この地は「銀座」と呼ばれるようになりました。当時の銀座は、銀貨の流通を担う重要な場所であり、自然と人や物が集まる商業の中心地へと発展しました。武家や町人に加え、参勤交代で江戸を訪れる大名や地方の商人たちも利用するため、銀座は早くから賑わいを見せていたのです。こうした往来が、格式ある料亭や料理茶屋が生まれる土壌を育んだといわれています。
明治時代に入ると、銀座は大きな変革を経験します。1872年(明治5年)の大火で街の大部分が焼失してしまったのです。しかしその後、政府は文明開化を象徴する都市づくりを目指し、銀座をモデル地区に選びました。再建にあたっては煉瓦造の建物や街路樹が導入され、「銀座煉瓦街」と呼ばれる近代的な街並みが整えられました。これは当時の日本において最先端の都市計画であり、銀座は新しい文化の玄関口として注目を集めました。
老舗料理店が軒を連ねる銀座
銀座は地理的にも恵まれていました。霞が関の官庁街や日本橋の商業地と隣接していたことから、政治家や実業家、さらには文化人までもが集う場となり、接待や社交の拠点としても重要な役割を果たしました。そのため、食に対しては質や格式が強く求められ、時を重ねる中で自然と老舗が根づいていったのです。
さらに大正から昭和初期にかけて、銀座はモダン文化の発信地へと成長します。カフェや映画館、百貨店が次々と誕生し、庶民にとっても憧れの街となりました。この時期には洋食やカフェ文化もいち早く根づき、銀座が食の最先端を体験できる場所として全国に知られるようになります。こうした背景は、老舗洋食店が育つ大きな要因となりました。
現在の銀座は、世界的なブランドショップや百貨店が集まる日本屈指のショッピングエリアであると同時に、伝統芸能を楽しめる歌舞伎座や老舗料理店が軒を連ねる文化的な街としても高い評価を得ています。銀座は歴史を通じて「伝統と革新」を絶妙に融合させ、国内外から訪れる人々を魅了し続けているのです。
西洋化政策が進む中で創業した「銀座 みかわや」
老舗洋食店「銀座 みかわや」の歴史は、西洋化の波が押し寄せていた明治20年(1887年)に始まります。創業者の保坂芳次郎氏が、現在の銀座通りにある和光の隣に「三河屋食料品店」を開業したのがその第一歩でした。当時の銀座は文明開化を象徴するエリアであり、新しい食文化やライフスタイルがいち早く取り入れられる場でもありました。みかわやは、時代が激しく変化していく状況の中、銀座で最先端の食材を扱うお店としてスタートを切ったのです。
その後、昭和16年(1941年)に太平洋戦争が勃発し、昭和20年(1945年)の東京大空襲で銀座は焼け野原となってしまいます。
戦後、みかわやは食料品店ではなく「フランス料理 みかわや」として再興しました。横浜のホテルニューグランドの初代料理長からフランス料理の“技と心”を受け継ぎ、その確かな伝統を基盤に本格的な西洋料理を提供する店として生まれ変わったのです。
「銀座 みかわや」のメニューで人気を集めているのは、長時間じっくりと煮込んだ牛肉を濃厚なデミグラスソースで仕上げたビーフシチューや、口の中でとろけるような食感のタンを贅沢に煮込んだタンシチューです。また、ホテルニューグランドから受け継いだ芝海老のグラタン、そして「銀座 みかわや」を代表する一皿となっている「かにクロケット」は、再興以来多くの食通を魅了してやみません。
終戦から80年。現在も「銀座 みかわや」は、銀座でグラタンやクロケットといった洋食の魅力を存分に味わえる、老舗洋食店として親しまれています。
「銀座 みかわや」を代表する一皿である、名物の「かにクロケット」。もともとフランス料理のクロケット(croquette)は、ジャガイモやベシャメルソースを使った揚げ物です。「銀座 みかわや」ではこれを日本独自の洋食として発展させ、特別な味わいに仕上げています。
クロケットの中にはタラバガニの身がたっぷりと入り、上品で優しい甘みが口いっぱいに広がります。さらに、店自慢のなめらかなベシャメルソースが絶妙なバランスを生み出し、他では味わえない贅沢な一品に。「銀座 みかわや」の「かにクロケット」は、長い歴史をもつ老舗だからこそ生み出せる味であり、銀座ならではの洋食文化を堪能できる料理です。
松屋銀座のGINZA FROZEN GOURMETでは、この「かにクロケット」を冷凍食品としてご用意しています。老舗洋食店の味を、いつでもご家庭でお楽しみいただけます。
優しく品のある味のタラバガニをふんだんに使い、自家製ベシャメルソースとのバランスをとりつつ、しっかりとかにを楽しめるコロッケです。
まとめ
銀座は江戸時代から商業と文化の中心として発展し、文明開化以降は西洋文化の玄関口として洋食文化が根づきました。その歴史ある街で愛され続ける老舗洋食店が「銀座 みかわや」です。戦後にフランス料理店として再興し、ビーフシチューやタンシチュー、そして名物の「かにクロケット」で食通を魅了してきました。この「かにクロケット」は、松屋銀座のGINZA FROZEN GOURMETでも楽しむことができます。老舗の味、そして長く愛されている洋食文化の味を、ぜひ家庭でもご堪能ください。