かつての冷凍食品といえば、手間いらずで調理が簡単、お弁当のおかずや夕食の“あと一品”として重宝される存在でした。味よりも時短や利便性が重視され、「一定の美味しさ」で十分とされていた時代もあります。しかし近年では、冷凍技術の進化とともに“美味しさ”を追求した高級冷凍食品が続々と登場。自宅にいながら本格的な味を楽しめるだけでなく、ちょっとしたご褒美や大切な人へのギフトとしても注目を集めています。本記事では、冷凍食品の進化の歩みを振り返りつつ、高級冷凍食品が生まれた背景について詳しくご紹介します。
食品冷凍の歴史は「魚」からはじまりました!
いつのまにか、そして気がつけば家庭の冷凍庫の中には「冷凍コロッケ」や「冷凍焼売」があったように思えますが、冷凍食品はいつ頃から販売され、私たちの食卓に並ぶようになったのでしょうか? 今や当たり前に利用されている冷凍食品は、なんと1920年(大正9年)、魚を冷凍した「凍結魚」として始まりました。ただしこの頃は、一般の家庭に販売するための「冷凍食品」ではなく、あくまで倉庫での保存を目的とした「食品冷凍(冷凍保存)」と呼ばれるものであったようです。一般消費者に向けて冷凍食品が販売されたのは、それから10年後の1930年。大阪の百貨店で、苺のシャーベットが販売されました。
調理冷凍食品がデパートで販売開始
冷凍食品が私たちの暮らしに浸透しはじめたのは、太平洋戦争が終わって間もない1948年のこと。肉料理やシチューなどの調理済み冷凍食品が登場し、当初は限られた一部のデパートで販売されていました。それから数年後の1952年には、東京・渋谷の東横百貨店に冷凍食品専用の売り場が設置され、本格的に一般消費者の元へと広がりを見せはじめます。
当時の冷凍食品はまだ特別な存在でしたが、時代の変化とともに家庭の食卓にも徐々に浸透していきました。その契機となったのが電気冷蔵庫の普及。1962年には電気冷蔵庫の普及率が80%を超え、各家庭でも冷凍食品の保存が現実的に可能となったことで、一気に普及が進んだのです。この頃からコロッケやハンバーグ、焼売、餃子、えびフライなど、現在でも定番となっている冷凍惣菜が次々と登場。冷凍食品は「保存がきく食品」から、「便利で美味しい日常食」へと進化していったのです。
高級冷凍食品を生んだ急速冷凍技術の発達
上記のように、かつての冷凍食品といえばコロッケやハンバーグ、焼売、餃子、えびフライといったおなじみのおかずが主役でした。冷凍食品は「保存がきく食品」から「便利で美味しい日常食」へと進化していましたが、どちらかといえば手軽さや保存性が重視され「手間いらずで調理できる保存食」という存在でもあったのです。しかし、近年注目を集めているのがレストラン品質の味わいを自宅で楽しめる高級冷凍食品です。高級冷凍食品が登場した背景には、冷凍技術の飛躍的な進化があります。
とくに重要なのは「急速冷凍技術」の発達です。これは、食品の細胞を壊さずに凍らせるため、マイナス40度前後という極低温で短時間に凍結する手法です。冷却のスピードが速ければ速いほど、食品の風味や食感、色合いは損なわれにくくなります。この技術が進化したことで、今まで冷凍に不向きとされていた魚介類や繊細な洋菓子、さらには和食のお寿司や新鮮な刺身まで、幅広いジャンルの食品が冷凍できるようになりました。
また、急速冷凍の手法も多様化しており、強力な冷風を食品に直接当てる「エアブラスト冷凍」や、液体窒素やアルコールを使う「液体凍結」、真空状態で冷凍する「真空冷凍」、金属板で直接冷やす「プレート冷凍」など、食材の特性に合わせて最適な冷凍方法が選ばれるようになっています。これらの高度な冷凍技術によって、家庭でも一流レストランの味を再現することが可能になり、冷凍食品は「特別なごちそう」へと新たなステージに進化しているのです。
急速冷凍のメリット
急速冷凍技術のメリットをもう少し詳しく整理すると、以下のようになります。
鮮度や食感、風味の保持
急速冷凍では食品内部の水分が短時間で凍るため、氷の結晶が非常に小さくなります。これにより細胞の破壊を最小限に抑えられ、解凍後も食材本来の食感や色合い、風味がしっかりと保たれます。刺身用のマグロや和牛、完熟フルーツなどを、まるで生のような状態で味わえるのはこの技術のおかげです。
衛生面での安全性
急速冷凍は微生物が繁殖する前に一気に温度を下げるため、衛生管理の面でも優れた効果を発揮します。HACCP(危害要因分析重要管理点)などの衛生基準との相性も良く、食品加工の現場でも広く採用が進んでいます。
※HACCP:すべての食品事業者が守るべき衛生管理基準として、食品衛生法で義務づけられている衛生管理手法
急速冷凍の技術は、高級食材や名店の味を“そのまま”届けることを可能にし、衛生面でも安心して楽しんでいただける商品へとその価値を大きく押し上げています。
GINZA FROZEN GOURMETの始まりは?
戦後に普及し始め、冷凍技術の進化によって「特別なごちそう」へと昇華してきた高級冷凍食品。この高級冷凍食品を、数多く扱っているのが松屋銀座の「GINZA FROZEN GOURMET」です。
その始まりは2022年の8月。コロナ禍による外食機会の減少や宅食需要の高まりも背景にありましたが、何よりも大きなきっかけとなったのは、松屋が長年大切にしてきた「共存共栄」の精神に基づいた、地元・銀座や浅草の老舗・名店とのコラボレーションです。
長引くコロナの影響でお客様が減少し、厳しい状況にあった名店の味を冷凍という形で家庭に届けることができないか――。そんな思いから始まったこの取り組みは、従来の冷凍食品とは一線を画す、本格的な味わいと職人技が込められた高級冷凍食品として多くの注目をいただております。
GINZA FROZEN GOURMETは、当初、松屋銀座内の実店舗のみでの販売でしたが、全国のお客様からのニーズに応えるため、オンラインショップも開設。今では店舗とオンラインショップの両輪で商品をお届けしています。実店舗では商品を手に取ってご確認いただけるだけでなく、担当者から解凍方法や商品の開発ストーリーを直接聞けるのも魅力の1つです。とくにご年配のお客様や近隣のお客様にとっては、実際に目で見て確かめられることが大きな安心につながっています。
今やFROZEN GOURMET は350種類の品揃え
松屋銀座の地下二階にあるGINZA FROZEN GOURMETは、今や約350種類もの高級冷凍食品を取り扱う一大グルメスポットとなっています。商品はすべて、バイヤーが老舗や名店と丁寧に共同開発したこだわりの逸品が多くあります。和洋中を問わず多彩なラインナップが揃い、家庭で贅沢なひとときを楽しめると評判です。
GINZA FROZEN GOURMETはオンラインショップでも約100種類の冷凍食品を購入できますが、人気商品はすぐに売り切れてしまうこともしばしば。手作りで、かつ高い品質を保つため、一つひとつに時間と手間がかけられており、再入荷までに時間がかかる場合もあります。それだけに、手に入れたときの満足度には格別なものがあるでしょう。今後は取扱商品をさらに拡充する予定です。ぜひ一度オンラインショップをご覧ください。
まとめ
冷凍技術の進化によって、さまざまな料理や食材が高品質のまま冷凍できるようになり、高級冷凍食品が誕生しました。これまでの「手軽な調理」や「お弁当用のおかず」といった用途から、本当に美味しいものを自由な時間に楽しむという新たなニーズが生まれています。松屋銀座の「GINZA FROZEN GOURMET」では、贅沢な食体験を提供する商品を多数ご用意しています。特別なひとときを、松屋銀座のFROZEN GOURMETでお楽しみください。